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建設業許可更新で「まさか!」の危機! 役員重任登記のうっかり漏れが引き起こす致命的な遅延と対策

  • MORI KENICHIRO
  • 11月28日
  • 読了時間: 8分

東京都新宿区の建設業許可申請、産業廃棄物許可申請、在留資格許可申請、補助金、に強いライジングサン行政書士事務所代表の森憲一郎です。


今回のブログテーマは、「建設業許可更新で「まさか!」の危機! 役員重任登記のうっかり漏れが引き起こす致命的な遅延と対策」です。


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先日起きた実体験からブログをしたためました。

この記事は、建設業を営む経営者の方や、経理・総務ご担当者様への注意喚起と具体的な対策提示を目的としております。


イントロダクション:許可更新の落とし穴は、意外なところに潜んでいる


建設業を営む皆様にとって、5年に一度の建設業許可の更新は、事業継続に欠かせない重要な手続きです。申請期間が近づくと、財務状況、技術者の確保、経営業務の管理責任者(現行制度では「経営業務の管理責任者等」)の要件など、多岐にわたる書類準備に追われることでしょう。

しかし、その中で、最も見落とされがちでありながら、発覚すると致命的な遅延を引き起こす落とし穴があります。それが、「役員の重任登記のうっかり漏れ」です。

あなたの会社は大丈夫ですか? 今回、実際に発生した事例をもとに、この“うっかり”が招く深刻な事態と、それを未然に防ぐための確実な対策を徹底的に解説します。


Ⅰ. 登記簿謄本が語る「重任届未提出」の衝撃



1. 建設業許可更新時に提出が求められる「登記簿謄本」


建設業許可の更新申請では、役員(取締役・監査役など)の氏名や就任年月日、過去の役員歴などを確認するため、法務局発行の「登記事項証明書(登記簿謄本)」の提出が必須です。

この登記簿謄本は、会社の「現在事項」と「役員に関する事項」を証明する公的な書類です。


2. 「重任」とは何か?


株式会社では、役員には任期が定められています。通常、取締役は2年、監査役は4年(非公開会社では最長10年まで伸長可能)です。

任期が満了しても、同じ人物が引き続きその役職に就く場合、これを「重任(ちょうにん)」と呼びます。

この重任の手続きは、株主総会で選任決議を行い、任期満了日から2週間以内に法務局へ変更登記(重任登記)を行わなければなりません。たとえメンバーが変わらなくても、登記上の手続きは必須なのです。


3. 恐ろしい「重任登記漏れ」が発覚する瞬間


建設業許可の担当部署が、提出された登記簿謄本を精査した際、役員欄の氏名の横に記載されるべき「重任」の文字がない、または任期満了日が過ぎているにもかかわらず、その後の登記がなされていないという事実に気がつきます。

今回のケースでも、「役員欄」を見たところ、現任の役員について、最後の就任(または重任)の日付から任期を計算すると、既に任期が満了しており、その後の重任登記が手続き上、なされていない状態だったのです。

【チェックポイント】登記簿謄本に記載された「年月日就任」や「年月日重任」の日付から、貴社の定款で定めた役員の任期を正確に計算してみてください。任期満了日が過ぎていませんか?

Ⅱ. 重任登記漏れが建設業許可更新にもたらす「ダブルパンチ」


重任登記漏れが発覚した場合、事業者に待ち受けるのは、単なる書類の不備以上の深刻な事態です。


1. 許可更新申請が「ストップ」する


建設業許可の更新申請手続きは、提出書類に不備がある場合、受け付けられません

役員の登記は、会社の基本的な情報であり、これが不完全、または不正確であるということは、許可の要件を満たす以前の問題として処理されます。申請窓口からは、「先に法務局で重任登記を完了させて、新しい登記簿謄本を再提出してください」という指導を受けます。


2. 法務局での「過料」と「手続きの遅延」が発生する


重任登記は、任期満了日から2週間以内に行うことが会社法上の義務です。これを怠った場合、会社(代表取締役)に対して、100万円以下の過料(かりょう)が科される可能性があります(会社法第976条)。

さらに、長期間にわたり登記を怠っていた場合、法務局での手続きは容易ではありません。

  • 株主総会の議事録の再作成や承認

  • 必要書類の確認

  • 「登記懈怠(とうきけたい)」を解消するための手続き

これらに時間がかかり、許可の更新申請に必要な新しい登記簿謄本の取得が遅れます。


3. 「許可の期限切れ」という最悪のシナリオ


建設業許可の更新申請は、許可の有効期間満了日の30日前までに行うのが原則です。

もし、重任登記の修正に時間を要し、その手続きが有効期間満了日を過ぎてしまった場合、許可は失効します。

一度失効すると、新規の許可を取り直すことになり、その間は原則として新たな建設工事の請負契約を締結できなくなります。これは、事業の継続にとって致命的な打撃となります。


Ⅲ. なぜ「重任登記」は、うっかり発生しやすいのか?


会社の重要事項であるにもかかわらず、なぜこのような「うっかり」が発生しやすいのでしょうか。


1. 役員構成が変わらないことによる「慣れ」と「油断」


重任登記の必要性を強く認識するのは、役員が交代する「新任」や「退任」の時です。

しかし、長年役員構成が変わらない会社では、「任期が来たけど、同じメンバーだから大丈夫だろう」という油断が生じがちです。

手続きとしては、メンバーが同じでも登記は必須であることを強く認識しなければなりません。


2. 登記業務を「丸投げ」にしている(誰の責任か不明確)


経理、総務、経営企画など、会社の中で「誰が役員任期の管理責任者なのか」が曖昧になっているケースが多く見られます。

「登記は司法書士に任せているから大丈夫」と、担当者がチェックを怠ると、司法書士からの確認依頼メールや電話を見落としてしまうリスクがあります。


3. 役員任期を「10年」に伸長している会社の盲点


非公開会社は、役員の任期を最長10年まで伸長できます。これは、登記の手間とコストを大幅に削減できるメリットがあります。

しかし、10年に一度の手続きとなるため、かえって手続きの存在そのものを忘れ去ってしまいやすく、「次は10年後」という認識が、途中で担当者が変わるなどの要因で完全に抜け落ちることがあります。


Ⅳ. うっかり重任登記漏れを防ぐための確実な対策


この致命的な事態を避けるため、建設業者が今すぐ実践すべき対策を3つ提案します。


1. 役員任期の「二重管理」を徹底する


  • 【法務局登記日ベースの管理】

    • 登記簿謄本を確認し、「最終重任(就任)日」と「任期満了日」を正確に把握する。

    • この任期満了日を、会社の重要事項管理台帳(Excelなど)に記載し、「満了日の1年前」と「半年前」にアラートが鳴るように設定する。

  • 【許可更新日ベースの管理】

    • 建設業許可の「有効期間満了日」を起点とし、その1年半前に「役員任期が許可更新申請時までに満了しないか」をチェックするルーティンを組み込む。


2. 登記手続きの責任者を明確にする


  • 法務局での登記手続き(重任、目的変更、本店移転など)に関する社内での責任者を一名決定する。

  • 司法書士や弁護士と契約している場合は、その専門家との連絡窓口担当者を明確にし、専門家からの案内や通知を必ず責任者に報告するフローを確立する。


3. 登記簿謄本を「定期的に」確認する


建設業許可の更新時だけでなく、最低でも年に一度、会社の登記簿謄本を取得し、下記の事項をチェックする社内ルールを設ける。

  • 役員欄: 現任役員の任期が満了に近づいていないか?

  • 目的欄: 現在行っている事業内容(特に付帯工事など)が漏れなく登記されているか?

  • 本店所在地: 移転などによる変更が正確に反映されているか?


結論:事前チェックで事業の危機を回避する


役員重任登記の漏れは、会社法上の義務違反であるだけでなく、建設業者が事業を継続するための生命線である「許可の更新」を危うくする、非常にリスクの高い「うっかりミス」です。

建設業の許可更新は、法務局の登記情報と、許可行政庁への提出情報が完全に一致していることが大前提です。

今すぐ、お手元の登記簿謄本と定款をご確認ください。そして、この記事で紹介した「二重管理」「定期チェック」をルーティンに組み込み、許可更新時の「まさか!」の危機を未然に防ぎ、安心して事業を継続できる体制を整えましょう。


現在、許可更新を控えている、または最近登記簿謄本を見ていない経営者・ご担当者様は、まずはお手元の登記簿謄本を確認し、最終就任・重任日から任期満了日を計算してみましょう。


行政書士に依頼することで、書類作成の負担軽減、申請不備による手戻りの防止、そしてスムーズな許可取得が期待できます。

許可申請でお困りの方は、まずは専門家にご相談してみてはいかがでしょうか。

上記お問合せフォームからお気軽にご相談ください。


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