建設業許可を取得しないで業を行うことのデメリット
- MORI KENICHIRO
- 1月16日
- 読了時間: 6分
東京都新宿区を拠点に、建設業許可や産業廃棄物許可、ビザ申請、補助金申請を専門としているライジングサン行政書士事務所の森憲一郎です。
今回のブログテーマは、「建設業許可を取得しないで業を行うことのデメリット」です。

建設業界において、事業を拡大しようとする際に必ず直面するのが「建設業許可」の壁です。「うちはまだ小さいから」「手続きが面倒だから」という理由で、許可を得ずに工事を請け負っているケースも見受けられますが、そのリスクは計り知れません。
本記事では、無許可営業がもたらす致命的なペナルティや実例、そして許可取得のためのポイントを詳しく解説します。
1. なぜ「無許可」で営業を続けてしまうのか?
まず、なぜリスクを冒してまで建設業許可を得ずに営業を続ける業者が存在するのでしょうか。現場の声を聞くと、主に以下のような理由が挙げられます。
① 軽微な建設工事(500万円未満)の範囲内だと思っている
建設業法では、1件の請負代金が500万円未満(消費税込)の工事(建築一式工事の場合は1,500万円未満、または延べ面積150㎡未満の木造住宅工事)であれば、許可がなくても施工可能です。
「自分たちは小さな修繕メインだから大丈夫」という思い込みが、無許可状態を継続させる要因の一つです。
② 許可要件(経営業務管理責任者・専任技術者)を満たせない
許可を取得するには、経営経験や国家資格、あるいは長期の実務経験が必要です。「親方が引退して経営経験を証明できる人がいない」「資格を持っている社員がいない」といった人的要件のハードルにより、取得を諦めているケースです。
③ 資金面や事務作業への負担感
許可申請には数万円~十数万円の登録免許税や手数料がかかるほか、煩雑な書類作成が必要です。日々の現場作業に追われ、事務作業を後回しにしているうちに、いつの間にか「無許可」の状態が常態化してしまうのです。
2. 無許可営業の代償:刑事罰と行政処分
「バレなければ大丈夫」という考えは非常に危険です。建設業許可を持たずに、500万円以上の工事を請け負った場合、「無許可営業」として厳しい罰則が科されます。
刑事罰の内容
建設業法第47条に基づき、無許可で建設業を営んだ者には以下の罰則が科される可能性があります。
3年以下の懲役、または300万円以下の罰金(併科されることもあります)
ここで注意すべきは、法人の場合は**「両罰規定」**が適用される点です。実行した個人だけでなく、会社自体にも重い罰金刑が科されます。
欠格要件による「5年間の排除」
これが最も大きなダメージかもしれません。建設業法違反で刑罰(罰金刑以上)を受けると、「欠格要件」に該当します。
その結果、刑の執行が終わってから5年間は、建設業許可を申請することができなくなります。 つまり、一度摘発されると、その後5年間は合法的に大きな工事を請け負うチャンスを完全に失うことを意味します。
3. 実例から学ぶ:無許可営業のリスク
実際に起きた事例を参考に、どのような状況で無許可営業が発覚するのかを見てみましょう。
事例A:追加工事による「500万円」の突破
内装工事会社が、当初450万円で契約した案件において、施主からの追加発注が相次ぎ、最終的な請負金額が550万円(税込)となりました。この会社は許可を持っていませんでしたが、「一つの現場だから」とそのまま施工を完了。
後日、税務調査や別件の通報をきっかけに当局の知るところとなり、無許可営業として検挙されました。
教訓: 「合計額」が500万円を超えればアウトです。分割契約にしても「正当な理由なき分割」とみなされれば合算されます。
事例B:元請会社からの「コンプライアンス確認」
近年、大手ゼネコンや中堅元請会社はコンプライアンスを極めて重視しています。二次下請として入る予定だったB社に対し、元請が許可証の写しを求めたところ、B社は無許可。
元請はリスク回避のため、即座にB社を現場から外しました。B社は信頼を失い、それ以降その元請からの仕事は一切来なくなりました。
教訓: 警察に捕まらなくても、「仕事が来なくなる」という社会的制裁が先に訪れます。
4. 許可を持たないことの「目に見えない」デメリット
刑事罰以外にも、経営に深刻な影響を与えるデメリットが多数存在します。
① 社会的信用力の欠如
許可を持っているということは、国や都道府県から「経営体制」「技術力」「誠実性」「財産的基礎」が一定水準以上であるとお墨付きを得ている証拠です。許可がないというだけで、銀行融資の審査で不利になったり、新規取引を断られたりする原因になります。
② 受注チャンスの損失
現在、公共工事はもちろんのこと、民間の小規模な工事であっても、コンプライアンスの観点から「許可保有」を条件にする施主が増えています。許可がないだけで、土俵にすら上がれない案件が増加しているのです。
③ 補助金・助成金の申請で不利になることも
一部の事業承継補助金や設備投資系の補助金では、建設業者である場合、建設業許可を有していることが申請要件となっているケースがあります。
5. 建設業許可を取得するための3つのポイント
では、無許可のリスクを解消し、許可を取得するためには何が必要なのでしょうか。
① 「ヒト」の要件を整理する
最も重要なのは、「経営業務の管理責任者(経管)」と「専任技術者(専技)」の確保です。
経管: 建設業の経営経験が5年以上あるか。
専技: 指定の国家資格を持っているか、あるいは10年以上の実務経験(学歴により短縮可)があるか。
これらを証明する書類(確定申告書や過去の注文書、卒業証明書など)を揃えるのが第一歩です。
② 「カネ」の要件を確認する
一般建設業許可の場合、「500万円以上の自己資本」または「500万円以上の資金調達能力(銀行の残高証明書など)」が必要です。
③ 書類の「裏付け」を準備する
「経験がある」と言うだけでは不十分です。行政はすべて「紙(エビデンス)」で判断します。過去の契約書、注文書、通帳のコピーなどが揃っているかを確認しましょう。もし手元に書類が足りない場合は、どのように代替証明を行うかを専門家と相談する必要があります。
まとめ:許可取得は「守り」ではなく「攻め」の投資
建設業許可は、単なる「手続き」ではありません。あなたの会社を法的なリスクから守り、取引先からの信頼を勝ち取り、より大きな案件へ挑戦するための「最強の武器」です。
「うちはまだ早い」と考えず、将来的な事業拡大を見据えているのであれば、今この瞬間に準備を始めることを強くお勧めします。無許可での営業は、砂上の楼閣のようなものです。いつ崩れるかわからないリスクを抱え続けるよりも、正当な許可を得て堂々と営業を行いましょう。
行政書士に依頼することで、書類作成の負担軽減、申請不備による手戻りの防止、そしてスムーズな許可取得が期待できます。
許可申請でお困りの方は、まずは専門家にご相談してみてはいかがでしょうか。
上記お問合せフォームからお気軽にご相談ください!
(あとがき)
ライジングサン行政書士事務所では、建設業許可の新規取得だけでなく、その後の更新手続きや決算変更届、さらには経営事項審査(経審)への対応までトータルでサポートしております。新宿区を中心に東京都全域対応可能です。お気軽にご連絡ください。
次は、御社の現在の状況に合わせて「許可取得の可能性」を診断してみませんか?





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